[この記事を読んでわかること]
- なぜ英語ができるエンジニアは強いのか?
- エンジニア向けのおすすめ英語勉強法
- おすすめの教材
グローバル化がますます進む昨今、いよいよ英語ぐらいできなきゃな、、、と感じつつも重い腰が上がらない・・・。
自分より一回りも若い子から TOEICのスコアを聞かれても、自信を持って答えられずにはぐらかす。。。
英語での電話会議に出席し、何となく分かったつもりでも細かい内容はわからず、まともな発言もできずに、何事もなく時間が過ぎるのを待つ。。。
海外と取引のある会社で働くみなさんなら、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。
“英語ができたらな・・・。”
そんな思いを持ったエンジニアが一歩踏み出すためのきっかけになれば幸いです。
TOEIC 960点と4年半のアメリカ駐在経験を持つ現役エンジニアである著者が解説します。
〜著者略歴〜
- 理系大学出身、国内半導体部品メーカー勤務のエンジニア
- 大学4年の時に一念発起し英語を勉強。5ヶ月でTOEICスコア630=>875点に。
- 新卒入社5年目でアメリカ駐在員に抜擢。
- 4年半アメリカでFAE (Field Applications Engineer)として現地顧客対応業務に従事。
なぜ英語ができるエンジニアは強いのか?
- 今時、スマホ一つで通訳ができるし、資料だって自動翻訳サイトで無料で翻訳できる。
- AIの時代だから翻訳精度も格段に良くなってるよ。今更英語なんてできなくたって問題ない。
そう考える方が、多いではないでしょうか。
主要顧客の9割が海外顧客であるメーカーで10年以上エンジニアとして働く僕の経験から、英語ができるエンジニアはまだまだ強い、というのが結論です。
エンジニアとしてどれだけ技術力があっても、自分で英語ができて自分で資料を作ったり直接顧客と議論したりできなければ片手落ちで、結局誰か英語ができる人を介さなければならなくなります。
本当に尖った技術力を持った人材であれば、それでもまだ生きる道はあるかもしれません。
もう定年のゴールが見えているというならば、逃げ切りを狙うのも一計かも。
そうでないならば、是非英語のできる強いエンジニアを目指していただきたいので、なぜ英語ができるエンジニアが強いのか、3つ理由を挙げます。
- スピードが圧倒的に違う。
- 専門的な内容についてはまだまだ自動翻訳も精度が追いつかない。
- 集められる専門情報に差が出る
1つずつ説明します。
スピードが圧倒的に違う
これは実際に僕の部署であった話です。
英語が拙い担当者が、英語のできる営業担当者を介して電話会議での対応を行っていた際に、顧客から「営業と話をしたくない。私はエンジニアなのだから、直接エンジニアと会話したい」、「効率も悪いから英語のできる技術担当者に変えてくれ」、といった要望を受けました。
ここまで厳しく、ストレートに要求してくる顧客も珍しいですが、顧客側からすれば忙しい中時間をとっているのに、通訳を通すことで2倍以上の時間を要することになるのですから、正当な要求と言えます。(もし自分が担当変われと言われたらめっちゃ凹むと思いますが。。)
実際は技術的な内容で営業を介すると体感3倍ぐらい時間かかります。タイム・イズ・マネーです。
そうすると、顧客からすると直接英語で技術的な会話できるエンジニアがいることは、スピーディに課題を解決するための要件事項となり、会社としてはそういった技術者を要することが海外顧客とのビジネスを円滑に進めていくための必要条件となります。
また、英語ができるエンジニアは、重要顧客・重要プロジェクトを任されるようになり、エンジニアとしての経験もより積むことができます。
結果として、語学力だけでなく、エンジニアとしての技術力・経験にプラス顧客対応のスキルを磨くことができ、さらに強いエンジニアが出来上がります。
専門的な内容にはまだまだ自動翻訳も精度が追いつかない
“自動翻訳”を、”技術的なことがあまりわかっていない営業さんによる通訳”としても良いです。
AI技術の進歩発展により自動翻訳の精度は飛躍的に向上しています。
しかしながら、やはり我々エンジニアが扱う専門的な技術ディスカッションや技術レポートにおいて、自動翻訳ではまだまだ精度が追いついていないと感じています。
「自動翻訳ならどう訳すかな?」と補助的に使用することや、時間がない時に一旦自動翻訳でざっと訳させてそのあと自分で推敲する、といった使い方は行うようになりましたが、一から資料を作るときは最初から英語で作る方が断然早い。
また、自分で英語がわからなければ、翻訳が自分の意図をしっかり伝えているかどうかも判断ができません。
話が通じない、もしくは全く勘違いが起こった状態で物事が進んでしまうという致命的なエラーが発生する危険が伴います。技術的な製品仕様を取り交わす中で発生すると、それは”誤解”では済まされません。
人間が正しく理解してきっちり確認・判断を行うことが、まだまだ必要です。
集められる専門情報に差が出る
日本はとても恵まれた国です。
大学教育レベルにおいても多くの科目において日本語で書かれた教科書が手に入ります。
途上国の中には、英語ができなければ高等教育を受けられないと言う国も多くあります。
日本人の英語力は国際的に見ても低い水準にあると言う事実は、英語の必要性による部分もあるかもしれません。
少し話が逸れましたが、エンジニアが必要とする技術的専門情報についても、日本語訳されたものというのは限定されたものとなります。
原文記事がリリースされてから翻訳記事が出るまでのタイムラグもあります。
特に僕の所属する半導体業界は、アメリカを始め、海外から新しい技術が発信されますので、業界動向にアンテナを張っておく必要がありますが、英語ができるとこの情報収集も楽に行うことができます。
過去の研究結果や論文、特許情報などを調べるにあたっても、やはり英語の論文を苦なく読めると効率が上がりますし、そもそも日本語の論文だけ当たっていても見つからない情報もあることでしょう。
結果として、集められる情報量・質に差が出ることで、エンジニアとしての技術力にも差が出てきます。
ここまで読んでいただいて、やっぱ英語できた方がいいな、英語ちょっと本気で勉強してみようかな、なんて思っていただけたら嬉しいです。
続いて、おすすめの勉強法をご紹介します。
エンジニア向けのおすすめ英語勉強法
- TOEIC (L&R) 700〜800点代を取る。
- 専門的な技術用語を英語で覚える。
- 技術的な言い回しを覚える。
TOEIC (L&R) 700〜800点代を取る
勉強法というよりまずは基礎をしっかり勉強しましょうね、ということで、第1ステップとして、TOEICの目標スコアを書きました。
TOEICスコアアップのための、TOEIC特化の勉強法についてはまた別途記事を書きますね。
僕はTOEICのことを”英語を使った情報処理試験”だと思っています。
最近のオンライン試験とかだと少しボリュームも減ったりしているように思いますが、私が受験していた頃のTOEICはとにかく量が多く、スピード勝負みたいなところがありました。
仕事も結局スピードが大事だと思っているので、TOEICは実用的な英語力を測れない、というふうに思っている方も多くおられるかもしれませんが、実はTOEICは”仕事で使える英語”に直結した試験だと僕は思っています。
当然ながら、700〜800点代取ったら英語ペラペラ、というわけにはいきませんので、まずここまで基礎を身につけることを優先してください。
専門的な技術用語を英語で覚える, 技術的な言い回しを覚える
エンジニアですから、技術的な話ができなければ意味がありません。
海外の顧客とビジネスをするのであれば、それを英語でできなければなりません。
単語だけでも聞き取れると、英語が完璧に聞き取れなくても間は文脈で類推・補完しながら、何の話をしているかはわかるようになってきますので、発音と合わせて技術用語を英語で覚えてください。
逆に単語を知らないと何の話をしているかすらわからなくなります。
一方、辞書で調べても一発で業界で標準的に使われている適切な単語を引くことができないケースも多いです。(辞書で調べたらこうなのに、うまくお客様に伝わらない、など)
こういったケースにおすすめの調べ方・勉強法をいくつか紹介します。
- 過去の顧客資料・顧客提出資料(英文)を読む
- 業界の材料/装置メーカー/自社競合の英語版の紹介資料を自社ネットワークもしくはインターネット上で検索して読んでみる
- 英語の論文を読んでみる
過去の顧客資料・顧客提出資料を読んでみる
これは1番手っ取り早い方法だと思います。
過去お客様からいただいた資料や、過去自社から顧客に対して提出し技術資料が社内データベースに保管されていると思います。
そういった資料を読んで、業界で使用されている単語や言い回しを抜き出して覚えていきます。
特に、業界特有の略語などはインターネットで調べてもなかなか見つからないため、先輩社員や上司の方に聞きながら、1つずつ学んでいきましょう。
中には、顧客特有の言い回しも存在するので、そう言った場合には注意して使い分けしましょう。
業界の材料/薬品/装置メーカー/自社競合の英語版の紹介資料を自社ネットワークもしくはインターネット上で検索して読んでみる
半導体業界だけでないと思いますが、多くの工業製品 (BtoB)において素材や装置メーカーは、いまだに日本メーカーが強い。
自社と取引のあるメーカーさんの会社/製品紹介資料を日本語/英語版の両方を入手して、対訳で見比べながら読んでみる、という方法もおすすめです。特に技術資料に関しては、単語だけでなく、文章での技術的な表記方法についても参考にできると思います。
競合他社のウェブサイトや展示会の発表資料なども参考になります。
同じ製品を取り扱っている競合他社の資料を見れば、自社製品を説明する時にそのまま使える単語ばかりのはず。
英語の論文を読んでみる
最後は少しハードルが高いかもしれません。
内容から難しいものを英語で読む、というのはなかなか敷居が高く、結局頭に入ってこない、という場合もありますので、あまり無理はせず、ですが、文章で書かれていますので、単語だけでなく、技術的な文章の書き方、というのを学ぶのに非常に役に立ちます。
英語で客観的な文章を書く際、主語の取り方などを日本語と少し考え方(視点?)を変えて文章を書く必要があります。
おすすめの教材
最後にいくつかおすすめの教材を紹介します。
英語の教材ではなく、「英語”で“学ぶ」もしくは、「専門知識を英語で学び直し、自身の専門知識を英語で説明できるようになる」ための書籍を選んでみました。
Signal and Power Integrity – Simplified / Eric Bogatin 著
Signal IntegrityとPower Integrityに関する入門書です。
Simplifiedとあるように、割と平易な文章で書かれています。
駐在員時代に、現地の若いエンジニアがこの本で電気特性に関して勉強しているのを見て、せっかくやるなら英語で勉強するか、ということで購入しました(日本語訳版も出版されていますが、アメリカで買うのは英語版の方が安かったという都合もあります)
一つ間違えると枕になりかねないボリュームですが、単語、技術的な文章の書き方を学ぶのに良い一冊です。
English Grammar in Use / Raymond Murphy 著
これは、駐在期間中に妻がESL (English as Second Language) のスクールに通っていた際に教材として使用していた書籍です。
英語を英語で学ぶ、という不思議な感じのする教材となっていますが、日本語でつらつらと説明が書かれている教材と異なり、イメージとして理解しながら学習を進めることができる良い教材だと思いました。
英語を英語で理解する、というスタイルですので、ある程度の英語の基礎がある人におすすめの教材です。
Collins COBUILD (コリンズ コウビルド)英英辞書
これも、英語を英語で理解するための教材になりますが、英英辞書です。
学生時代に使用していたコウビルドの英英辞書をおすすめします。僕が高校時代の恩師から勧められた辞書です。
おすすめの理由は、例文が充実していることです。
英語を英語で理解するためには、実際にその単語がどう言った文脈で使われるのか、例文で理解するのが一番です。記憶への定着も良くなります。
また、スマポやタブレットで簡単にネット検索が可能な時代となりましたが、それでもやはり紙には紙の良さがあります。
一覧性、辞書を引く中で他の単語に出会う、あっちこっちにマーキングが増えていく、新しい単語だと思って調べたら過去に調べた単語で既にマーカーがついてる、など、思い返すと懐かしいですが、学生さんだけでなく、時間のない社会人にも紙の辞書をおすすめします。
最後に
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。
英語ができるようになって世界を相手に活躍できるワールドワイドなエンジニアを目指しませんか?
あなたが一歩踏み出すための助けになったなら幸いです。
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