QCストーリーを用いた家計改善

課題解決手法であるQCストーリーを用いた改善活動の例として、家計改善について取り組んでみた事例を紹介します。

普段のエンジニア業務に活かしても良いですし、実際にご自身の家計改善を同様のアプローチで取り組んでみても良いかもしれません。

参考情報:家族構成

家計情報の参考情報です。

  • 30代夫婦+子供2人の4人暮らし
  • 車社会の地方在住。車2台を所有。
  • 夫の私が家計管理担当。大学時代から家計簿をつけ続けている。
  • 社会人なりたての頃からファイナンシャル・リテラシーを身に付けることを心がけ、インデックス投資、積立投資を20代半ばから開始。資産額は現在4,000万円を超える。

QCストーリーの全体の流れ

  1. テーマ選定
  2. 現状把握
  3. 目標設定
  4. 原因分析
  5. 対策立案・実施
  6. 効果の確認
  7. 歯止め・標準化

流れは上記の通りです。

テーマ選定は、家計改善をテーマに今回取り組みます。

現状把握

まず現状把握から始める必要があります。

現状がわかっていないのに、原因はわかりませんし、原因がわからなければ、対策の打ちようがないからです。

よくある失敗が、現状把握と原因分析をきっちり行わない状態で、対策を決め打ちで実施するために、思うような効果が得られないケースです。

家計に関する現状把握に関しては、まず家計簿をしばらくつけることから始めましょう。

まず1ヶ月記録すれば、空間分析:何にどれだけお金を使っているか、を見ることができ、1年記録スレば、時間分析:同じ項目でも時期によってどれだけ変化があるか?を見ることができます。

いきなり1年データ取りから始めるのは大変だと思うので、1ヶ月のデータを取るところからで良いと思います。

使ったお金を項目ごとに分けて記録していきましょう。

固定費:毎月ほぼ決まった金額で出ていく支出

まず、毎月ほぼ決まった金額で出ていく支出:固定費です。

住居・光熱水費、通信費、保険、自動車関連費用、クレジットカード年会費、ローン(奨学金)返済など、毎月支払っている支出をあげましょう。

我が家では以下のように固定費を分類して集計しています。

変動費:月によって出ていく金額が異なる変動費

次に、月によって出ていく金額が異なる変動費です。

生きていく上で毎月必要な支出を生活費、年に数回必要となる支出を特別支出として切り分けています。

これは、データを蓄積した後に時間分析をする際に、ノイズが出ないようにするための工夫です。

年1回の帰省費用や、数年に1度しか買わない家電やスマホの買い替えなどの大きな支出による影響を切り分けて家計分析できるようにします。

こうすることで、1ヶ月の間で、何にいくら使っているか、支出の現状を把握することができました。

グラフを書いてみえる化

さらに見える化しようと思うと、パレート図を描いてみるのが良いでしょう。

累積比率を示す折れ線グラフが書けませんでしたが、我が家の場合は以下のようになりました。

現状減らしようのない項目を除き、削減可能な支出は上から順に、以下の通り。

  1. 食費
  2. ガソリン代・交通費
  3. 昼食
  4. 日用品
  5. 美容・健康
  6. ガス代
  7. 電気代

よくあるパターンとしては、家賃、通信費や保険料が高い家計が多いのではないかと思いますが、我が家は、①社宅であるために家賃が安く、②過去の改善により保険料は最低限まで見直し済み、③通信費も格安SIMでの運用を行っているため最小限に抑えられています。

パレートの法則に従い、上位の項目を削減するとより大きな改善効果に繋がります。

我が家では、食費、ガソリン代、昼食の支出が大きくなっているので、ここの改善に取り組むのが良さそう、というのがパレート図から見えます。

目標設定:SMARTゴールを意識して

現状が把握できたら、目標設定を行いましょう。

  • 収入から考えて、月々の家計が黒字になる金額まで支出を減らす
  • 月々O万円貯金したいので、支出をO万円減らす

などなど、ご自身の家計状況と目標に合わせて目標金額を設定しましょう。

ここで、目標設定において重要な条件をお教えします。

SMARTゴールと言いますが、以下の5点を意識した目標設定を行いましょう。

目標設定において重要なポイント

  • S:Specific 具体的な
  • M:Measurable 測定可能な
  • A:Achievable 達成可能な
  • R:Realistic/Relevant 現実的な/関連性のある
  • T:Timed 期限が決まっている

我が家の目標は

  • 年間支出:360万円
  • 月生活費:12万円

に抑えることです。

パレート図による分析も行いましたが、今回はこの目標と現状を見比べた時に、ギャップが大きい項目について改善を図ることを目標に設定したいと思います。

ギャップ分析の結果は以下の通りでした。

差分が一番大きかったのが、光熱水費で4,245円のオーバー。

よって、我が家の目標は、

2023年度、光熱水費を平均25,000円以内までに抑える

とします。

原因分析

次に、現状把握で集めたデータ・事実を元に、原因分析を行います。

まずは、光熱水費をそれぞれ電気代とガス代、水道代に層別し、年間の推移を確認してみます。

2021年から2年分データを並べてみました。

季節による変動があるものの、光熱水費の中で一番高いのはガス代で、平均¥10,359、最高は¥15,741です。

地方住みで都市ガスのエリアではなく、プロパンガスであるために都市部在住の方よりは割高になっているかと思います。

オール電化も検討しましたが、希望に合う物件もなく今の部屋としました。オール電化だともう少し抑えられていたのかもしれません。

時間分析:ガス代使用量推移確認

ガス代の分析として、使用量の推移を確認しました。

  • ガス代の推移傾向とリンク
  • 夏は少なく、冬は多い

という傾向が確認できました。このことから、

  • ガス単価が上がったというわけではなく、単純に使用量が多い。

ということが言えます。

我が家でガスを使用しているのはコンロと給湯。キッチン・洗面所・お風呂の使用が原因となります。

それぞれでさらに分類分けできれば良いのですが、ここの切り分けができるデータはありません。

お風呂の使用とガス代のリンクがあるか見てみるために水道使用量とガス使用量の推移を並べてみました。

水道の計量が2ヶ月に一度なので、期間の区切りが季節との相関を見るのに少し見辛いですが、以下のような傾向となりました。

予測したような傾向は見られませんでしたが、ここから考察されるのは、

  • 水道使用量によらず、冬場のガス代が高くなっている。
  • 水温が低いほど湯を沸かす時間もかかるため、ガスの使用量も増える。
  • 同じ温度でも、夏と冬では体感温度が異なるため、冬場の給湯設定温度は高めに設定している。

という要因から冬場のガス代が高くなっていると考えられます。

対策の検討:原因分析の結果を踏まえて。

原因分析の結果を踏まえて対策の立案と検討を行います。

まずはブレインストーミング形式で、現実性は無視してあげてみます。

マインドマップを使用してざーっとあげています。

色々な視点でアイデアを上げたいので、できれば家族集まってブレストできたらいいですね。

次に対策の検討で、立案した対策案の評価を行います。

主に①効果、②費用、③期間の視点で評価します。

今回は生活に関する部分なので、生活の質という観点も踏まえて対策案を評価しました。

この時点で明らかに副作用の懸念が大きいものは落として構わないでしょう。

今回の検討結果から、対策として実施するのは、「節水シャワーヘッドの導入」となりました。

次点として、キッチン手袋を使用した上で洗い物にお湯を使わない、が上がりましたが、過去のトライアルでうまく定着していないことを考慮し、今回は見送りの判断としました。

対策の実施

実施計画を立て、実施していきます。

節水シャワーを幾つサンプルで入手し、節水効果と使用感を試してから実適用開始、というのが理想ですが、一般家庭においてそこまではできないので、いくつか候補をあげて、レビュー情報を参考にどのシャワーヘッドを購入するか検討します。

効果の確認:やりっぱなしではダメ

対策を実施した後は、本当に狙った通りの効果が出ているか効果の確認が必須です。

うちの会社の技術は、これをやらないからタチが悪い。決めつけで対策を打って改善するだろう、で終わる。レベルが低すぎますね。

冬場のガス代が高くなる傾向がありますので、冬場のデータ確認までしばらく待つ必要がありますが、1年間モニターしてみたいと思います。

歯止め・標準化

効果があること、副作用もないことを確認できたら標準化します。

もし問題が発生した場合には、対策案の適用を再度見直す必要があります。

また、同様の節水ヘッドを水平展開できる部分があれば展開します。

まとめ

あれこれ分析した割に、対策は結局月並みな内容になりましたが、前々から気になっていた節水ヘッドなので、効果が出るか楽しみです。良い結果が出ることを期待します。

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