いつかアメリカに住んでみたいな
エンジニアとしてもっとキャリアアップしたい!英語できたほうがいいって聞いたけど、どれくらいのレベルが必要かな?
なぜエンジニアに語学力が求められるか?
エンジニアは専門職なんだから英訳なんて営業さんに任せておけば良いじゃない!
いえいえ、エンジニアも語学力が求められる時代なんです。まずは、その理由を解説しますね。
通訳を介するようではビジネスのスピードについていけない
スピードが求められる昨今のビジネス環境において、僕たち自身もお客様も毎日忙しくしています。
問い合わせに対する回答はスピーディに欲しい。電話会議はスムーズにこなして、互いのワークに戻りたい。
間に技術的知識の乏しい営業を挟むと、説明にも時間を要することになり、2倍以上の時間を要することになります。
直接エンジニアが客先のエンジニアと技術的な会話ができること、これが現代のビジネスに求められています。
いくら技術力があっても、語学力がないと片手落ちになってしまいます。
お客様は直接エンジニアと会話したい
理由は1点目と重なる部分もありますが、やはり客先エンジニアは、直接エンジニアと話がしたいものです。
ただでさえ忙しいのに、話のわからない営業に根掘り葉掘り説明することは辟易される場合もあります。
「あぁ、あの件ですね、わかりました。確認して折り返し連絡します」
一発で伝わるコミュニケーションの速さ、ストレスの無さは、やはり円滑にビジネスを進めるために必要な要素となります。
もちろんこれは技術的な話に限りませんが、[Easy to work]という指標は、技術力や価格、納期以外に、サプライヤを評価する1つの重要な要素となっています。QCDSで言えば、Serviceの1つです。
エンジニアに求められる英語力
エンジニアに語学力が必要なことはわかったよ。じゃあ、どの程度の語学力があれば、海外のお客様と直接やりとりができるエンジニアになれるかな?
そうだね、More is better. だけどそれじゃあ身もふたもないから、まずこのレベルまで欲しいな、っていうラインを説明するね。
TOEIC 800点台以上
僕は、大学時代に英語を一念発起して勉強し、半年ほどでスコアを630 => 875点まで一気に上げましたが、800点オーバーで初めて基礎レベルを納めたかな、という感覚でした。
このレベルで、英語ペラペラになる、というのはないと思います。(英語ペラペラの人が、TOEICを受けてハイスコア、ということはもちろんあり得ますが)
まずは、教材が充実していて、試験も頻繁に受験しやすいTOEICのスコアをマイルストーンとして、基礎とある程度の自信を身につけてください。
リスニングとリーディングスキル、専門用語から
まずは、以下を優先して身につけましょう。
- 相手の言っていることを正しく理解するためのリスニング
- メールやレポート、規格書・図面に書かれている内容を正しく理解するためのリーディング
- 専門用語に関する語彙力
英文学を読むわけではないので、基本的に難解な表現は使われません。
基本、簡単な単語、文法でやり取りされます。
但し、専門用語については、技術的な話をする上で避けられませんので、自社の製品や工程などを英語でなんというかは1つずつ覚えていきましょう。
断片的であっても、技術的な内容であれば、ある程度のリスニング・リーディング力でも大枠理解できると思います。
まず、この「大枠理解できる」を目指しましょう。
そこからは実際に仕事で使いながら磨いていって、「詳細までわかる」レベルに持っていけば良いのです。
但し、わからなかった時にきちんと聞き直す、自分の理解があっているか相手に確認する、という基本的なマインドは忘れずに。わかったフリ、はダメです。
ライティングは自動翻訳を使いながら、自動翻訳を自分で手直ししながら文章を書けるレベルまで。
TOEICで800点が取れていればある程度の基礎はできていると思いますので、ライティングもある程度問題ないと思います。
スピードと精度の問題だと思いますが、書く限りは時間は取ろうと思えば取れるはずですので、DeepLなどの自動翻訳サイトを駆使しながら対応すれば良いと考えます。
但し、自動翻訳させた文章を読んでみて、変だな、こうしたほうが良いな、というのが全くわからない、自分で判断できないようであれば危険です。
自動翻訳は「使って良い」ですが、「頼っている」ようではまだまだ仕事で使えるレベルにありませんので、勉強し直してください。
スピーキング:発音気にしなくてOK。文法もある程度でOK。
発音:まずは全然気にしなくて良いです。Samurai accentだと割り切って大丈夫。
発音を気にしてモジモジ話すほうがよほど聞き取りづらいので、ハキハキ話すだけでOK。
文法:細かい文法は気にしなくて良いです。多少文法がおかしくても言いたいことは伝わります。
もちろん、意味が変わってしまったり、めちゃくちゃはダメですが、簡単な基本構文をベースに会話をある程度テンポよく組み立てられればOKです。
エンジニアにおすすめの勉強法
- TOEIC (L&R) 700〜800点代を取る。
- 専門的な技術用語を英語で覚える。
- 技術的な言い回しを覚える。
TOEIC (L&R) 700〜800点代を取る
少し繰り返しになりますが、勉強法というよりまずは基礎をしっかり勉強しましょうね、ということで、第1ステップとして、TOEICの目標スコアを書きました。
TOEICスコアアップのための、TOEIC特化の勉強法についてはまた別途記事を書きますね。
僕はTOEICのことを”英語を使った情報処理試験”だと思っています。
最近のオンライン試験とかだと少しボリュームも減ったりしているように思いますが、私が受験していた頃のTOEICはとにかく量が多く、スピード勝負みたいなところがありました。
仕事も結局スピードが大事だと思っているので、TOEICは実用的な英語力を測れない、というふうに思っている方も多くおられるかもしれませんが、実はTOEICは”仕事で使える英語”に直結した試験だと僕は思っています。
当然ながら、700〜800点代取ったら英語ペラペラ、というわけにはいきませんので、まずここまで基礎を身につけることを優先してください。
専門的な技術用語を英語で覚える, 技術的な言い回しを覚える
エンジニアですから、技術的な話ができなければ意味がありません。
海外の顧客とビジネスをするのであれば、それを英語でできなければなりません。
単語だけでも聞き取れると、英語が完璧に聞き取れなくても間は文脈で類推・補完しながら、何の話をしているかはわかるようになってきますので、発音と合わせて技術用語を英語で覚えてください。
逆に単語を知らないと何の話をしているかすらわからなくなります。
一方、辞書で調べても一発で業界で標準的に使われている適切な単語を引くことができないケースも多いです。(辞書で調べたらこうなのに、うまくお客様に伝わらない、など)
こういったケースにおすすめの調べ方・勉強法をいくつか紹介します。
- 過去の顧客資料・顧客提出資料(英文)を読む
- 業界の材料/装置メーカー/自社競合の英語版の紹介資料を自社ネットワークもしくはインターネット上で検索して読んでみる
- 英語の論文を読んでみる
過去の顧客資料・顧客提出資料を読んでみる
これは1番手っ取り早い方法だと思います。
過去お客様からいただいた資料や、過去自社から顧客に対して提出し技術資料が社内データベースに保管されていると思います。
そういった資料を読んで、業界で使用されている単語や言い回しを抜き出して覚えていきます。
特に、業界特有の略語などはインターネットで調べてもなかなか見つからないため、先輩社員や上司の方に聞きながら、1つずつ学んでいきましょう。
中には、顧客特有の言い回しも存在するので、そう言った場合には注意して使い分けしましょう。
業界の材料/薬品/装置メーカー/自社競合の英語版の紹介資料を自社ネットワークもしくはインターネット上で検索して読んでみる
半導体業界だけでないと思いますが、多くの工業製品 (BtoB)において素材や装置メーカーは、いまだに日本メーカーが強い。
自社と取引のあるメーカーさんの会社/製品紹介資料を日本語/英語版の両方を入手して、対訳で見比べながら読んでみる、という方法もおすすめです。特に技術資料に関しては、単語だけでなく、文章での技術的な表記方法についても参考にできると思います。
競合他社のウェブサイトや展示会の発表資料なども参考になります。
同じ製品を取り扱っている競合他社の資料を見れば、自社製品を説明する時にそのまま使える単語ばかりのはず。
英語の論文を読んでみる
最後は少しハードルが高いかもしれません。
内容から難しいものを英語で読む、というのはなかなか敷居が高く、結局頭に入ってこない、という場合もありますので、あまり無理はせず、ですが、文章で書かれていますので、単語だけでなく、技術的な文章の書き方、というのを学ぶのに非常に役に立ちます。
英語で客観的な文章を書く際、主語の取り方などを日本語と少し考え方(視点?)を変えて文章を書く必要があります。
おすすめの教材
最後にいくつかおすすめの教材を紹介します。
英語の教材ではなく、「英語”で“学ぶ」もしくは、「専門知識を英語で学び直し、自身の専門知識を英語で説明できるようになる」ための書籍を選んでみました。
Signal and Power Integrity – Simplified / Eric Bogatin 著
Signal IntegrityとPower Integrityに関する入門書です。
Simplifiedとあるように、割と平易な文章で書かれています。
駐在員時代に、現地の若いエンジニアがこの本で電気特性に関して勉強しているのを見て、せっかくやるなら英語で勉強するか、ということで購入しました(日本語訳版も出版されていますが、アメリカで買うのは英語版の方が安かったという都合もあります)
一つ間違えると枕になりかねないボリュームですが、単語、技術的な文章の書き方を学ぶのに良い一冊です。
English Grammar in Use / Raymond Murphy 著
これは、駐在期間中に妻がESL (English as Second Language) のスクールに通っていた際に教材として使用していた書籍です。
英語を英語で学ぶ、という不思議な感じのする教材となっていますが、日本語でつらつらと説明が書かれている教材と異なり、イメージとして理解しながら学習を進めることができる良い教材だと思いました。
英語を英語で理解する、というスタイルですので、ある程度の英語の基礎がある人におすすめの教材です。
Collins COBUILD (コリンズ コウビルド)英英辞書
これも、英語を英語で理解するための教材になりますが、英英辞書です。
学生時代に使用していたコウビルドの英英辞書をおすすめします。僕が高校時代の恩師から勧められた辞書です。
おすすめの理由は、例文が充実していることです。
英語を英語で理解するためには、実際にその単語がどう言った文脈で使われるのか、例文で理解するのが一番です。記憶への定着も良くなります。
また、スマポやタブレットで簡単にネット検索が可能な時代となりましたが、それでもやはり紙には紙の良さがあります。
一覧性、辞書を引く中で他の単語に出会う、あっちこっちにマーキングが増えていく、新しい単語だと思って調べたら過去に調べた単語で既にマーカーがついてる、など、思い返すと懐かしいですが、学生さんだけでなく、時間のない社会人にも紙の辞書をおすすめします。
最後に
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。
英語ができるようになって世界を相手に活躍できるワールドワイドなエンジニアを目指しませんか?
あなたが一歩踏み出すための助けになったなら幸いです。
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